
kintoneで顧客管理する方法|必要な項目とアプリの構築例
2026/7/29
顧客情報をExcelや紙の台帳で管理していると、「最新の情報がどれか分からない」「担当者しか対応履歴を把握していない」といった問題が起こりやすくなります。
顧客数が増えるにつれてファイルが分散し、必要な情報を探すだけでも時間がかかるようになります。
kintoneを活用すれば、顧客の基本情報だけでなく、商談内容や問い合わせ履歴、見積書などの情報を顧客ごとにまとめて管理できます。自社の業務に合わせて項目や画面を変更できるため、一般的なCRMでは運用が合わなかった企業にも向いています。
ただし、最初から多くの情報を管理しようとすると、入力の負担が増えて定着しない可能性があります。まずは必要な項目を整理し、顧客台帳から小さく始めることが大切です。
この記事では、kintoneで顧客管理を行うメリット、必要な項目、アプリの構築例、導入時の注意点を分かりやすく解説します。
kintoneによる顧客管理とは
kintoneによる顧客管理とは、会社名や担当者名、電話番号といった顧客の基本情報をアプリに登録し、社内で共有する仕組みです。
単なる住所録として使うだけでなく、案件管理アプリや問い合わせ管理アプリと連携させることで、顧客ごとの商談状況や過去の対応履歴も確認できます。
サイボウズの公式サイトでも、顧客名、連絡先、活動履歴、過去の案件、問い合わせ情報などを関連付けて管理できることが紹介されています。
たとえば、取引先から電話があったときに顧客名を検索すれば、現在進んでいる案件や前回の対応内容を確認できます。担当者が不在でも別の従業員が状況を把握しやすくなるため、対応の属人化を防げます。

CRMと顧客台帳の違い
顧客台帳は、顧客の基本情報を記録することが主な目的です。
一方、CRMは「Customer Relationship Management」の略で、顧客との関係を管理する考え方や仕組みを指します。基本情報だけでなく、商談、問い合わせ、購入、契約、フォローなどの履歴も含めて管理します。
kintoneでは、最初に顧客台帳を作成し、その後に案件管理や対応履歴などのアプリを追加できます。
そのため、導入時から本格的なCRMを完成させる必要はありません。顧客台帳から運用を始め、現場の要望に合わせて少しずつ拡張できます。
kintoneで顧客管理を行うメリット
kintoneで顧客管理を行うと、顧客情報の共有や検索がしやすくなります。Excelによる管理で発生しやすいファイルの分散や二重入力も減らせます。
顧客情報を一元管理できる
部署や担当者ごとに顧客リストを保管していると、同じ顧客が複数のファイルに登録されることがあります。
また、住所や担当者が変わったときに、一部のファイルだけが更新される可能性もあります。
kintoneに顧客情報を集約すれば、社内で共通の顧客台帳を利用できます。誰かが情報を更新すると、ほかの利用者も変更後の情報を確認できます。
営業、事務、カスタマーサポートなど、複数の部署が同じ顧客に関わる企業ほど効果を実感しやすいでしょう。
必要な顧客を検索しやすい
顧客数が増えると、Excelの一覧から目的の情報を探すだけでも手間がかかります。
kintoneでは、会社名や担当者名だけでなく、地域、担当営業、顧客区分、契約状況などの条件を使って情報を絞り込めます。
たとえば、次のような一覧を作成できます。
和歌山県内の顧客
自分が担当している顧客
契約中の顧客
3か月以上連絡していない顧客
今月フォローが必要な顧客
業務に合わせた一覧をあらかじめ用意しておけば、毎回検索条件を設定する必要もありません。
対応履歴を共有できる
顧客とのやり取りを個人のメールやメモだけに残していると、担当者以外が経緯を確認できません。
kintoneに対応履歴を記録しておけば、いつ、誰が、どのような対応をしたのかを社内で共有できます。
担当変更時の引き継ぎにも役立ちます。過去の対応内容を確認できるため、顧客に同じことを何度も質問したり、以前の説明と異なる案内をしたりするリスクを減らせます。
自社の業務に合わせて変更できる
一般的なCRMでは、あらかじめ用意された機能や管理項目に業務を合わせなければならないことがあります。
kintoneでは、必要な項目をフォーム上に配置してアプリを作成できます。運用開始後に入力項目を追加したり、使われていない項目を削除したりすることも可能です。
顧客管理の方法が確立していない企業でも、実際に使用しながら改善できます。
案件や問い合わせ状況を見える化できる
顧客情報と案件情報を組み合わせると、担当者別の案件数や進捗状況を把握できます。
受注予定金額や案件のステータスを登録しておけば、売上見込みの集計にも活用できます。
問い合わせ管理と連携した場合は、問い合わせ件数や対応中の案件を一覧で確認できます。対応漏れや回答の遅れを防ぐ仕組みとしても有効です。
kintoneの顧客管理に必要な項目

顧客管理アプリに登録する項目は、企業の業種や管理目的によって異なります。
最初から項目を増やしすぎると入力されなくなるため、「業務で検索・確認・集計する情報」に絞ることが重要です。
基本情報
顧客を特定し、連絡するために必要な項目です。
顧客ID
会社名または顧客名
会社名のフリガナ
郵便番号
住所
電話番号
メールアドレス
Webサイト
法人・個人の区分
顧客IDには重複しない番号を設定します。会社名が似ている場合でも顧客を判別しやすくなり、ほかのアプリと連携するときのキーとしても利用できます。
担当者情報
法人顧客の場合は、企業情報と担当者情報を分けて考えます。
部署名
役職
担当者名
担当者名のフリガナ
直通電話番号
携帯電話番号
担当者のメールアドレス
1社に複数の担当者がいる場合は、顧客管理アプリのテーブルに登録する方法と、担当者管理アプリを分ける方法があります。
担当者の入れ替わりが多い企業や、1社に多くの窓口がある場合は、担当者管理アプリを分けたほうが管理しやすくなります。
営業管理に必要な情報
営業活動に利用する場合は、自社側の担当者や顧客の状況も登録します。
自社の営業担当者
顧客区分
見込み顧客・既存顧客の区分
流入経路
商談状況
最終接触日
次回連絡予定日
優先度
備考
「顧客区分」「商談状況」「優先度」などは、文字を自由入力するのではなく、ドロップダウンやラジオボタンを利用するのがおすすめです。
表記を統一できるため、検索や集計がしやすくなります。
契約管理に必要な情報
契約後の顧客も管理する場合は、次のような項目を追加します。
契約サービス
契約開始日
契約終了日
契約金額
更新予定日
契約状況
請求方法
担当部署
ただし、複数の契約を締結する可能性がある場合は、契約情報を顧客管理アプリへ直接入力するよりも、契約管理アプリを分けるほうが適しています。
顧客情報は1件でも、その顧客に紐づく契約は複数件になる可能性があるためです。
kintoneによる顧客管理アプリの構築例
顧客管理を行う方法として、すべての情報を1つのアプリに詰め込む方法と、用途ごとにアプリを分けて連携する方法があります。
顧客数や管理する情報が少ない場合は1つのアプリから始めても構いません。ただし、案件や対応履歴が増える場合は、複数のアプリに分けることをおすすめします。
構築例1:顧客管理アプリのみで始める
最も簡単な構成は、顧客管理アプリだけを作成する方法です。
顧客の基本情報、自社の担当者、顧客区分、最終接触日などを1つのアプリに登録します。
次のような企業に向いています。
初めてkintoneを導入する
顧客数がそれほど多くない
まずはExcelの顧客台帳を移行したい
複雑な案件管理を必要としていない
現在使用しているExcelやCSVファイルを読み込み、アプリの作成とデータの登録を行うこともできます。
最初は既存の顧客台帳に近い形で作成し、運用後に不要な項目を削除したり、検索に必要な項目を追加したりするとよいでしょう。
構築例2:顧客管理アプリと案件管理アプリを連携する
営業活動まで管理する場合は、顧客管理アプリと案件管理アプリを分けます。
顧客管理アプリには会社名や連絡先などを登録し、案件管理アプリには次の情報を登録します。
案件名
対象顧客
営業担当者
商談内容
案件ステータス
受注予定日
受注予定金額
次回対応日
添付資料
案件管理アプリにルックアップを設定すると、顧客を選択するだけで住所や電話番号などを取得できます。
同じ顧客情報を何度も入力する必要がなくなるため、入力時間と転記ミスを減らせます。
さらに、顧客管理アプリに関連レコード一覧を設定すれば、その顧客に紐づく案件を一覧表示できます。顧客の画面を開くだけで、進行中の案件や過去の商談を確認できる構成です。
構築例3:顧客・案件・対応履歴を分ける
問い合わせや商談の履歴を細かく残したい場合は、次の3つのアプリを作成します。
顧客管理アプリ
案件管理アプリ
対応履歴アプリ
対応履歴アプリには、対応日、対応者、対応方法、対応内容、次回予定などを登録します。
電話、訪問、オンライン商談、メールなどの対応方法を選択式にしておけば、どの方法で顧客と接触しているかも集計できます。
この構成では、1件の顧客に複数の案件と複数の対応履歴を紐づけられます。
情報量が増えても顧客管理アプリの画面が複雑になりにくいため、本格的なCRMとして利用したい企業に向いています。

kintoneで顧客管理アプリを作る手順
顧客管理アプリは、次の流れで作成します。
1.顧客管理の目的を決める
最初に、顧客情報を管理する目的を明確にします。
「顧客情報を一元化したい」「営業の対応履歴を共有したい」「案件の進捗を把握したい」など、目的によって必要なアプリや項目が変わります。
目的が曖昧なままアプリを作ると、入力項目が増えすぎたり、集めた情報を活用できなかったりします。
2.現在の顧客情報を整理する
Excel、名刺管理ソフト、紙の台帳、担当者個人のファイルなど、顧客情報が保存されている場所を確認します。
同じ顧客が複数登録されている場合は、データを統合します。会社名の表記や電話番号の形式なども、可能な範囲で統一しておきましょう。
データが整理されていない状態で移行すると、kintone上でも重複した顧客情報が残ってしまいます。
3.必要な項目を選ぶ
現在の台帳にある項目を、そのまますべて移行する必要はありません。
次の基準で必要性を判断します。
日常業務で確認するか
顧客の検索に使うか
一覧やグラフの集計に使うか
ほかのアプリとの連携に使うか
法令や社内ルール上、保存が必要か
使用目的を説明できない項目は、いったん外しても問題ありません。必要になった時点で追加できます。
4.小規模な範囲で試用する
アプリを作成したら、すぐに全社展開するのではなく、少人数で試用します。
実際の業務で使うことで、「入力項目が多い」「選択肢が不足している」「必要な一覧がない」といった問題が分かります。
試用期間中に現場の意見を集め、フォームや一覧を修正します。
5.運用ルールを決める
顧客管理は、アプリを作るだけでは定着しません。
少なくとも、次のルールを決めておきましょう。
新しい顧客を誰が登録するか
情報変更時に誰が更新するか
商談や電話の後、いつまでに履歴を入力するか
重複した顧客を見つけた場合にどうするか
退職者が担当していた顧客をどう引き継ぐか
入力する人によって運用が異なると、情報の信頼性が下がります。マニュアルを細かく作り込むよりも、最初は最低限のルールを共有することが重要です。
kintoneで顧客管理を成功させるポイント
入力項目を増やしすぎない
顧客情報を詳しく把握しようとして、入力項目を増やしすぎるケースがあります。
しかし、入力に時間がかかるアプリは現場に定着しにくくなります。未入力が増えれば、正確な検索や集計もできません。
必須項目は顧客の特定や業務に欠かせない情報に絞り、それ以外は任意入力にする方法もあります。
自由入力を減らす
同じ内容でも、「対応中」「対応中です」「対応継続」など、担当者によって入力方法が異なると集計できません。
分類やステータスには、ドロップダウン、ラジオボタン、チェックボックスなどを利用します。
一方、商談内容や顧客の要望など、文章で残す必要がある情報には文字列フィールドを利用します。項目の目的に合わせてフィールドを使い分けましょう。
顧客情報と履歴情報を分ける
顧客の住所や電話番号は、最新情報を確認できればよい項目です。
一方、商談や問い合わせは、過去の履歴を残す必要があります。この2種類の情報を同じように管理すると、どこに何を入力するのか分かりにくくなります。
基本情報は顧客管理アプリ、履歴は案件管理や対応履歴アプリに分けると、情報を整理しやすくなります。
アクセス権を適切に設定する
顧客情報には、個人情報や契約金額などの重要な情報が含まれます。
全従業員がすべての情報を閲覧・編集する必要があるとは限りません。部署や役職に応じて、アプリ、レコード、フィールドのアクセス権を検討します。
ただし、アクセス権を複雑にしすぎると管理が難しくなります。誰にどの情報を見せる必要があるかを整理したうえで設定しましょう。
定期的にアプリを見直す
顧客管理アプリは、一度作ったら完成ではありません。
業務内容や組織体制が変われば、必要な項目や一覧も変わります。使われていない項目を削除し、検索や集計に必要な項目を追加するなど、定期的に改善しましょう。
現場から「使いにくい」という声が出た場合は、利用者の意識だけを問題にせず、入力項目や業務手順に無理がないか確認することが大切です。
kintoneの顧客管理に関するよくある質問
Excelの顧客台帳をkintoneへ移行できますか
ExcelまたはCSV形式のファイルを読み込み、アプリを作成できます。
ただし、結合セルや複雑なレイアウトを使用している場合は、読み込み前の整理が必要です。1行に1件の顧客情報が入る表形式に整え、列名をkintoneの項目名として使用できる状態にします。
重複データや古い情報も、移行前に可能な範囲で整理しておきましょう。
kintoneだけで本格的なCRMを構築できますか
顧客管理、案件管理、対応履歴などを組み合わせれば、kintoneをCRMとして活用できます。
一方、大量のメール配信、高度なマーケティング分析、複雑な営業予測などが必要な場合は、外部サービスやプラグインとの連携が必要になることがあります。
最初に必要な機能を整理し、標準機能で対応できる範囲と追加開発が必要な範囲を確認することが大切です。
スマートフォンから顧客情報を確認できますか
kintoneはスマートフォンからも利用できます。
外出先で顧客情報を確認したり、訪問後に対応履歴を登録したりできます。ただし、入力項目が多いとスマートフォンでの操作に時間がかかるため、利用場面に合わせてフォームを設計する必要があります。
顧客管理アプリの構築を外注できますか
kintoneの開発会社や導入支援会社へ、アプリの設計や構築を依頼できます。
現在の業務整理、Excelからのデータ移行、アクセス権の設定、操作研修なども依頼できる場合があります。
顧客管理は日常的に使用する仕組みであるため、単にアプリを作るだけでなく、運用開始後の改善まで相談できる会社を選ぶと安心です。
まとめ
kintoneを活用すれば、顧客の基本情報、案件、商談、問い合わせ、対応履歴などを一元的に管理できます。
最初から複雑なCRMを作る必要はありません。まずは必要最低限の項目を備えた顧客管理アプリを作成し、実際の運用に合わせて案件管理や対応履歴を追加する方法がおすすめです。
顧客管理を成功させるためには、入力項目を増やしすぎず、現場が無理なく更新できる仕組みにすることが重要です。アプリの構成だけでなく、登録や更新のルールも決めておきましょう。
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