
kintoneを導入したけれど使われない原因と定着させる方法
2026/7/28

「業務効率化のためにkintoneを導入したものの、社員が入力してくれない」「一部の担当者しか使っておらず、Excelや紙に戻ってしまった」という悩みを抱えていないでしょうか。
kintoneは、自社の業務に合わせてアプリを作成できる柔軟性の高いツールです。しかし、導入するだけで業務が自動的に改善されるわけではありません。現場の業務に合わないアプリを作ったり、運用ルールが曖昧だったりすると、社員にとって「新しい作業が増えただけ」になってしまいます。
この記事では、kintoneが使われない主な原因と、社内に定着させるための具体的な方法を解説します。すでに導入しているものの活用できていない企業は、現在の運用を見直す際の参考にしてください。
kintoneが使われないのはツールだけが原因ではない
kintoneが定着しないとき、「社員のITリテラシーが低い」「現場が新しい仕組みに抵抗している」と考えてしまうことがあります。
しかし、実際には社員の意識だけが原因とは限りません。次のような運用上の問題が重なっているケースも多くあります。
kintoneを導入する目的が共有されていない
現場の業務に合わないアプリが作られている
入力項目や操作手順が複雑になっている
Excelや紙との二重管理が続いている
導入後の改善を担当する人が決まっていない
kintoneは、現場で使いながらアプリや運用方法を改善できることが特長です。最初から完璧なシステムを作るのではなく、利用者の反応を確認しながら育てていく必要があります。
サイボウズの公式情報でも、100点の完成を待つのではなく、まずは75点程度を目指して素早く実現し、運用しながら改善していく考え方が紹介されています。サイボウズ「導入・運用のコツ」
kintoneが使われない主な原因

導入の目的が現場に伝わっていない
経営者や管理者だけで導入を決め、現場には「来月からkintoneを使ってください」とだけ伝えているケースがあります。
この状態では、社員は次のように感じてしまいます。
なぜ今のExcelではいけないのか
入力した情報が何に使われるのか
自分にどのようなメリットがあるのか
会社が社員を管理するための仕組みではないか
導入目的が分からないまま操作だけを求められると、kintoneへの抵抗感が生まれます。
「顧客情報を一元化して問い合わせ対応を早くする」「日報作成の時間を短縮する」など、改善したい業務と現場のメリットを具体的に伝えることが重要です。
現場の業務を把握せずにアプリを作っている
kintoneのアプリを作成する担当者が、実際の業務を十分に把握していないことも、使われない原因になります。
管理者にとって必要な情報をすべて入力項目にすると、現場では入力負担が大きくなります。また、実際の業務フローとアプリの流れが合っていなければ、社員は別の方法で情報を管理するようになります。
アプリを作る前には、次の内容を確認しましょう。
誰が情報を入力するのか
いつ入力するのか
どの情報が本当に必要なのか
入力した情報を誰が確認するのか
入力後にどのような業務へつながるのか
管理する側だけでなく、実際に入力する社員へのヒアリングが欠かせません。
入力項目が多く操作が複雑になっている
将来的に必要になる可能性のある情報まで集めようとすると、入力項目が増えすぎてしまいます。
例えば、営業担当者が顧客との商談後に数十項目を入力しなければならないアプリでは、記録そのものが負担になります。その結果、入力が後回しになったり、最低限の項目しか登録されなくなったりします。
まずは業務に必要な項目だけで運用を開始しましょう。選択式にできる項目はドロップダウンやラジオボタンを使用するなど、文字入力を減らす工夫も有効です。
一覧画面についても、すべての項目を表示するのではなく、担当者ごとに必要な情報を確認しやすい状態に整理します。
Excelや紙との二重管理になっている
kintoneを導入した後も、従来のExcelや紙への記入を残している企業があります。
「念のためExcelにも入力してください」という運用では、社員の作業が増えてしまいます。kintoneに入力するメリットを感じられず、使い慣れたExcelだけが更新される状態になりかねません。
移行期間として一時的に併用することはありますが、最終的にどの方法へ統一するのかを決めておく必要があります。
「顧客情報の原本はkintone」「会議ではkintoneに登録された情報だけを使う」など、正しい情報の保管場所を明確にしましょう。
アプリが増えすぎて目的の情報を探せない
kintoneは比較的簡単にアプリを作成できるため、部署や担当者ごとにアプリが増えてしまうことがあります。
似たような顧客管理アプリが複数存在すると、社員はどのアプリへ入力すればよいか判断できません。同じ情報が別々のアプリに登録され、データの重複や更新漏れが起こる可能性もあります。
定期的にアプリを整理し、次のように分類することが大切です。
現在使用しているアプリ
他のアプリと統合するアプリ
保管だけを目的とするアプリ
使用を終了するアプリ
アプリの作成権限や命名ルールも定め、無秩序に増えないよう管理しましょう。
kintoneを開かなくても業務が進んでしまう
上司への報告が口頭やチャットで完了し、会議資料も別のExcelで作成されている場合、社員がkintoneを使う理由はありません。
kintoneを定着させるためには、日常業務の中に組み込む必要があります。
例えば、案件情報をkintoneに登録しなければ上司が確認できない、会議ではkintoneの一覧やグラフを表示するなど、kintoneに情報を集約する流れを作ります。
ただし、社員を強制的に縛るだけでは不満につながります。入力したデータが集計や報告に活用され、これまでの作業が減ることを実感できる設計が理想です。
導入後の管理者が決まっていない
アプリを作成して運用を開始した後、誰も改善を担当していないケースもあります。
使いにくい部分があっても修正されず、社員からの質問にも回答できなければ、次第に使われなくなります。kintoneの導入時には、社内管理者や推進担当者を決めておきましょう。
管理者の役割は、アプリを作成することだけではありません。
利用者から意見を集める
入力状況を確認する
不要な項目を削除する
一覧や通知を改善する
運用ルールを周知する
アプリの重複を整理する
こうした小さな改善を継続することが、社内定着につながります。
kintoneを社内に定着させる7つの方法

1.対象業務を絞って小さく始める
最初から全社のあらゆる業務をkintoneへ移行すると、設計や社員教育の負担が大きくなります。
まずは、効果が分かりやすく、業務の流れが比較的単純なものから始めましょう。
例えば、次のような業務が候補になります。
問い合わせ管理
日報・週報
備品管理
顧客情報の共有
案件の進捗管理
社内申請
ひとつの業務で成功事例を作り、「以前より確認が早くなった」「集計作業が不要になった」と実感してもらうことが重要です。その実績をもとに、他の部署や業務へ段階的に展開します。
2.現場の利用者をアプリ作成に参加させる
実際にアプリを使用する社員を、設計段階から参加させましょう。
現在の業務手順や困っていることを聞き、試作したアプリを操作してもらいます。実際に触ってもらうことで、「この項目は不要」「スマートフォンでは入力しにくい」といった具体的な意見が得られます。
また、自分たちの意見が反映されたアプリであれば、現場にも受け入れられやすくなります。
すべての社員に意見を聞くことが難しい場合は、各部署から1人ずつ推進メンバーを選ぶ方法もあります。
3.入力項目を必要最低限にする
運用開始時点では、入力項目をできるだけ少なくしましょう。
「その情報は誰が、いつ、何のために使うのか」を説明できない項目は、いったん外すことをおすすめします。後から必要性が判明した場合は、その時点で追加できます。
特に必須項目が多すぎると、登録を完了できず、利用者のストレスになります。必須設定は、業務を進めるうえで欠かせない項目に限定しましょう。
4.既存業務を減らす
kintoneの入力を新たに追加するだけではなく、同時に廃止できる作業を決めます。
例えば、次のような見直しが考えられます。
kintoneへ日報を登録したらメール報告を廃止する
案件一覧を作成したら会議用Excelを廃止する
申請アプリを導入したら紙の申請書を廃止する
顧客対応を記録したらチャットでの重複報告をなくす
社員にとってのメリットが明確になると、kintoneを使う動機が生まれます。

5.通知やプロセス管理を適切に設定する
kintoneでは、条件に応じた通知や、申請・承認などの業務フローを設定できます。
例えば、案件の担当者が変更されたときに通知する、申請後に承認者へ対応を促すといった設定により、確認漏れを防ぎやすくなります。
プロセス管理は、一覧・通知・アクセス権と組み合わせることで、より実際の業務に沿った運用ができます。kintoneヘルプ「プロセス管理と組み合わせると便利な設定」
一方で、通知が多すぎると重要な情報が埋もれます。すべての更新を通知するのではなく、「誰が、どのタイミングで確認する必要があるか」を整理して設定しましょう。
6.簡単なマニュアルと相談窓口を用意する
何十ページもある詳細な操作マニュアルを作っても、日常業務では読まれない可能性があります。
まずは、次の内容を1~2ページ程度にまとめるとよいでしょう。
kintoneを使用する目的
アプリへのアクセス方法
基本的な入力手順
入力するタイミング
困ったときの相談先
画面のスクリーンショットを使い、「どこを押すか」が一目で分かるようにすると効果的です。
サイボウズ公式サイトでも、利用者の理解度に応じて情報を段階的にまとめた学習スペースや、相談窓口を用意する方法が社内浸透の工夫として紹介されています。サイボウズ「社内浸透のための16のコツ」
7.定期的に利用状況を振り返る
運用開始後は、1か月後や3か月後などのタイミングで振り返りを行います。
確認するポイントは次のとおりです。
想定した人が入力しているか
未入力や入力ミスが多い項目はないか
使われていない一覧や機能はないか
Excelや紙での管理が残っていないか
現場からどのような要望が出ているか
導入前より作業時間が減っているか
入力されない項目がある場合、社員を注意する前に「入力する意味が分からない」「項目名が分かりにくい」「入力する時間がない」といった理由を確認しましょう。
kintoneの定着状況を確認する指標
「なんとなく使われている」という感覚だけでは、改善の効果を判断しにくくなります。次のような指標を設定すると、利用状況を把握しやすくなります。
対象者の利用率
レコードの登録件数
必須情報の入力率
更新されていないレコードの件数
Excelや紙で管理している業務の数
月次集計にかかる時間
問い合わせや対応漏れの件数
利用者から寄せられた改善要望の数
単純なログイン回数だけで判断するのではなく、kintoneの利用によって本来の業務がどれだけ改善されたかを確認することが大切です。
自社だけで定着させるのが難しい場合は外部支援も検討する
kintoneが活用できない状態を改善するためには、アプリの修正だけでなく、業務整理や運用ルールの見直しが必要です。
しかし、社内にkintoneの知識を持つ人がいない場合や、担当者が通常業務と兼任している場合は、改善が進まないことがあります。
そのような場合は、kintone開発会社や伴走支援を行うパートナーへ相談する方法があります。サイボウズの公式サイトでも、アプリ開発に加えて、利用定着や内製化、定例会での運用相談などを支援するパートナーが案内されています。kintoneのパートナー企業に相談する
外部へ依頼するときは、「アプリを作ってほしい」とだけ伝えるのではなく、現在使われていない理由の分析や、現場へのヒアリング、導入後の改善まで対応してもらえるか確認しましょう。
まとめ|kintoneが使われないときは運用と業務設計を見直そう
kintoneを導入しても使われない場合、社員の意識だけを問題にするのではなく、アプリや運用方法を見直すことが重要です。
特に、次の点を確認しましょう。
導入目的と現場のメリットが共有されているか
実際の業務フローに合ったアプリになっているか
入力項目が多すぎないか
Excelや紙との二重管理が残っていないか
導入後に改善する担当者が決まっているか
入力したデータが業務に活用されているか
kintoneは、一度作って完成するシステムではありません。現場の意見を取り入れ、小さな改善を繰り返すことで、自社に合った業務基盤へ育てていくことができます。
企業革命では、和歌山の中小企業を中心に、kintoneの導入・アプリ開発・既存環境の見直しを支援しています。「導入したものの使われていない」「Excelとの二重管理を解消したい」「何から改善すればよいか分からない」といった場合も、現在の業務を整理したうえでご提案します。kintoneを自社に定着させたい方は、お気軽にご相談ください。
一覧に戻る