不動産管理会社の業務をkintoneで効率化|修繕・入居者対応の管理方法

2026/8/4

不動産管理会社では、入居者からの問い合わせ、設備の不具合、修繕業者への手配、オーナーへの報告など、日々多くの対応が発生します。

電話、メール、チャット、紙のメモなど受付経路が複数あると、情報が分散しやすくなります。「誰が対応しているのかわからない」「修繕業者への連絡が止まっていた」「過去の対応内容を探すのに時間がかかる」といった問題に悩む管理会社も少なくありません。

kintoneを活用すれば、物件・入居者・修繕・問い合わせに関する情報をまとめ、受付から完了までの進捗を社内で共有できます。

この記事では、不動産管理会社がkintoneで業務を効率化する方法を、修繕管理と入居者対応を中心に解説します。アプリに必要な項目や具体的な構築例も紹介するため、自社の管理方法を見直す際の参考にしてください。

不動産管理会社で起こりやすい業務上の課題

不動産管理会社で起こりやすい修繕・入居者対応の課題

不動産管理の現場では、一つの問い合わせに対して入居者、管理会社、修繕業者、物件オーナーなど複数の関係者が関わります。そのため、単に問い合わせ内容を記録するだけではなく、担当者、対応期限、進捗、費用、報告状況まで継続して管理しなければなりません。

まずは、不動産管理会社で起こりやすい課題を確認しましょう。

電話やメールで受けた依頼が分散する

入居者からの連絡は、代表電話、担当者の携帯電話、メール、Webフォームなど、さまざまな窓口に届きます。受付担当者が紙や個人のメモに残しているだけでは、ほかの従業員が内容を確認できません。

担当者が不在のときに状況がわからず、入居者に同じ説明を求めたり、折り返しが遅れたりする原因になります。

修繕の担当者と進捗がわかりにくい

修繕対応には、状況確認、オーナー承認、業者選定、見積もり、日程調整、工事、完了確認など複数の工程があります。

Excelの一覧表だけで管理すると、「業者へ連絡済みなのか」「見積もりの回答待ちなのか」「入居者との日程調整が終わっているのか」がわかりにくくなります。担当者しか状況を把握していない場合、対応の停滞にも気づけません。

過去の対応履歴をすぐに確認できない

同じ部屋で設備不良が繰り返される場合や、入居者から以前の対応について質問された場合には、過去の履歴を確認する必要があります。

しかし、対応記録がメール、紙、Excel、基幹システムなどに分かれていると、必要な情報を探すだけで時間がかかります。担当者の記憶に頼った対応は、説明内容の食い違いや引き継ぎ漏れにもつながります。

対応件数や修繕費用を集計しにくい

受付記録を残していても、入力方法が統一されていなければ集計には手作業が必要です。

物件別の修繕件数、設備別の故障傾向、月ごとの修繕費用、未完了案件などをすぐに把握できないと、オーナーへの報告や管理品質の改善にデータを活かせません。

不動産管理会社の業務をkintoneで効率化できる理由

kintoneは、自社の業務に合わせてアプリを作成し、情報を蓄積・共有できるクラウドサービスです。不動産管理専用の完成されたパッケージではありませんが、自社の受付方法や承認フローに合わせて管理項目を設計できます。

不動産管理業務で活用しやすい理由を紹介します。

修繕・入居者対応を一元管理できる

問い合わせを受けたら、受付日時、物件名、部屋番号、入居者名、問い合わせ内容、緊急度などをkintoneへ登録します。登録した情報を全員が同じ画面で確認できるため、担当者以外でも対応状況を把握しやすくなります。

写真や見積書、請求書などもレコードに添付できます。水漏れや設備故障の写真、業者から受け取った見積書を案件ごとにまとめれば、関連資料をメールから探す手間を減らせます。

担当者と対応状況を見える化できる

kintoneのプロセス管理を使うと、業務の流れに沿ってステータスと作業者を設定できます。たとえば修繕管理では、次のような流れを作れます。

「受付」→「状況確認中」→「オーナー承認待ち」→「業者手配中」→「工事予定」→「完了確認」→「対応完了」

各案件の現在地が明確になり、次に対応する担当者も指定できます。対応が止まっている案件を一覧表示すれば、漏れや遅れにも気づきやすくなります。

条件に応じた通知を設定できる

担当者に指定されたときや、レコードが一定の条件を満たしたときに通知を送る運用が可能です。

たとえば「緊急度が高い」「対応期限が近い」「オーナー承認が必要」といった条件に合わせて通知先を設定すれば、重要な案件を見落としにくくなります。ただし、通知を増やしすぎると確認されなくなるため、本当に対応が必要な条件に絞ることが重要です。

外出先から状況を確認・更新できる

kintoneはパソコンだけでなく、スマートフォンのブラウザーやモバイルアプリからも利用できます。現地確認を行う担当者が、その場で状況を入力し、写真を添付する運用も可能です。

帰社後に報告書へ転記する作業を減らし、社内への情報共有を早められます。

一覧やグラフで対応状況を集計できる

登録したデータは、条件を指定した一覧やグラフで確認できます。

たとえば「期限を過ぎた未完了案件」「担当者別の対応件数」「物件別の修繕費用」「設備別の故障件数」などを表示できます。日々の進捗確認だけでなく、オーナーへの報告や修繕計画の検討にも活用できます。

kintoneを使った修繕管理の方法

修繕管理アプリでは、受付内容だけでなく、完了まで追跡するための情報を登録します。最初から項目を増やしすぎず、実際の業務で確認している情報を基準に設計しましょう。

修繕管理アプリに登録する主な項目

kintoneの修繕管理アプリに登録する主な項目

修繕管理アプリには、次のような項目が考えられます。

分類

主な項目

受付情報

受付日時、受付方法、受付担当者、緊急度

物件・入居者情報

物件名、部屋番号、入居者名、連絡先

不具合情報

設備分類、発生場所、症状、発生日時、写真

対応情報

担当者、ステータス、対応期限、対応内容

業者情報

修繕業者、連絡日、訪問予定日、工事日

費用・承認情報

見積金額、負担区分、オーナー承認、請求金額

完了情報

完了日、完了写真、入居者確認、オーナー報告

物件名や入居者名を毎回手入力すると、表記揺れや入力ミスが発生します。物件管理アプリや入居者管理アプリから情報を取得する構成にすると、入力負担を減らせます。

緊急度と期限を分けて管理する

緊急度と対応期限は、同じ項目にまとめず分けて管理することをおすすめします。

水漏れや停電などは緊急度が高く、即時対応が必要です。一方、共用部の軽微な破損などは、緊急度が低くても期限を決めて処理しなければ放置されます。

緊急度は「緊急・高・通常」などの選択式にし、対応期限は日付で登録すると、緊急案件と期限超過案件をそれぞれ一覧で抽出できます。

修繕の進捗をステータスで管理する

ステータスは細かくしすぎると更新が負担になります。自社で担当者や対応内容が切り替わる地点を基準に設定しましょう。

たとえば、小規模な管理会社では「受付・対応中・業者手配済み・完了」の4段階から始めても構いません。オーナー承認や見積もり管理が重要な会社では、その工程を独立させます。

誰が、どのタイミングで、どのステータスへ変更するのかまで決めておくことが、運用を定着させるポイントです。

kintoneを使った入居者対応の管理方法

入居者対応は修繕だけではありません。騒音、ゴミ出し、契約内容、更新・解約、共用部、近隣トラブルなど幅広い問い合わせが発生します。

入居者対応アプリを作る場合は、問い合わせの種類を選択式にし、受付内容と対応履歴を記録できるようにします。

問い合わせの分類を統一する

問い合わせ種別を自由入力にすると、「設備」「設備不良」「故障」など表記が分かれ、正確に集計できません。

「設備・修繕」「騒音・マナー」「契約・更新」「解約」「家賃・支払い」「その他」など、自社で多い問い合わせに合わせて選択肢を設定します。必要に応じて大分類と小分類を分けると、より詳しい傾向を分析できます。

連絡内容を時系列で残す

受付後に複数回の電話やメールが発生する場合、最終結果だけでなく途中経過も重要です。

「いつ・誰が・誰に・どの手段で・何を伝えたか」を記録すれば、担当者が不在でも対応を引き継げます。対応回数が少ない会社では一つのレコード内に表形式で記録し、履歴が多い会社では対応履歴アプリを分ける方法があります。

個人情報の閲覧範囲を設計する

入居者の氏名、電話番号、契約情報などを扱うため、必要な従業員だけが閲覧・編集できるようにアクセス権を検討します。

部署、担当者、役職などに応じて、アプリ・レコード・フィールドの閲覧範囲を設計します。また、コメント欄に個人情報を無制限に書くのではなく、記録する場所とルールを統一することも大切です。

物件・入居者・修繕・対応履歴アプリを連携する構築例

管理件数や対応件数が少ないうちは、一つのアプリにすべての情報を登録する方法でも運用できます。しかし、同じ物件や入居者に複数の問い合わせが発生する場合は、情報の種類ごとにアプリを分けたほうが管理しやすくなります。

代表的な構成は次のとおりです。

  • 物件管理アプリ:物件名、住所、オーナー、管理担当者などを登録

  • 入居者管理アプリ:入居者名、連絡先、契約期間、物件・部屋情報などを登録

  • 修繕管理アプリ:不具合内容、担当者、業者、費用、進捗などを登録

  • 対応履歴アプリ:電話、メール、訪問などの対応内容を時系列で登録

修繕管理アプリで物件や入居者を選択し、ルックアップで住所、部屋番号、連絡先などを取得します。物件管理アプリには、その物件に関する修繕履歴や問い合わせ履歴を関連レコード一覧で表示します。

この構成にすると、物件情報を何度も入力せずに済み、物件単位で過去の対応を確認できます。担当者が変わった場合も、これまでの経緯を追いやすくなります。

物件・入居者・修繕・対応履歴アプリを連携する構築例

不動産管理業務へのkintone導入で失敗しないポイント

kintoneは業務に合わせて柔軟に構築できる一方、設計や運用ルールが曖昧なままアプリを増やすと、かえって使いにくくなることがあります。

最初に現在の業務フローを整理する

アプリを作る前に、問い合わせを受けてから完了するまでの流れを書き出します。

誰が受付し、どの条件で上司やオーナーの承認が必要になり、いつ業者へ依頼し、誰が完了を確認するのかを整理します。現在の業務フローが曖昧なままでは、kintone上のステータスや担当者も決められません。

対象業務を絞って小さく始める

物件、入居者、契約、家賃、修繕、点検、オーナー報告など、すべてを一度にkintoneへ移行しようとすると構築が複雑になります。

まずは「修繕受付と進捗管理」など、課題が大きく効果を確認しやすい業務から始めましょう。現場で試し、必要な項目や一覧を調整してから対象範囲を広げるほうが定着しやすくなります。

入力項目を増やしすぎない

詳細な分析をしようとして入力項目を増やすと、現場の負担が大きくなります。入力されなければ、正確な集計もできません。

「その項目を誰が、いつ、何のために使うのか」を確認し、目的が明確でない項目は削ります。選択式、初期値、自動計算、ルックアップなどを活用し、手入力を減らす工夫も必要です。

既存システムとの役割を明確にする

すでに賃貸管理システムや会計システムを利用している場合、すべてをkintoneへ置き換える必要はありません。

契約情報や入出金は既存システム、個別対応の進捗や社内共有はkintoneというように役割を分ける方法もあります。二重入力が必要になる場合は、CSV連携やAPI連携、外部サービスの利用も含めて検討します。

まとめ|kintoneで修繕・入居者対応の抜け漏れを減らそう

不動産管理会社では、修繕や入居者対応に関する情報が電話、メール、紙、Excelなどに分散しやすく、担当者や進捗が見えなくなることがあります。

kintoneを活用すれば、問い合わせ内容、担当者、期限、進捗、業者手配、費用、対応履歴などを一元管理できます。物件管理アプリや入居者管理アプリと連携すれば、物件ごとの修繕履歴や問い合わせ履歴も確認しやすくなります。

ただし、重要なのはアプリを作ることではなく、自社の業務フローに合わせて無理なく運用できる仕組みを整えることです。まずは現在の対応フローを整理し、修繕管理など対象業務を絞って小さく始めましょう。

企業革命では、不動産業務の流れを確認したうえで、現場に合ったkintoneアプリの設計・構築を支援しています。「修繕対応の進捗が見えない」「問い合わせ履歴を一元化したい」「自社に必要なアプリ構成がわからない」といった課題がある場合は、お気軽にご相談ください。

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