
不動産会社のkintone活用例|顧客・物件・案件情報を一元管理
2026/8/3

不動産会社では、顧客情報や物件情報、商談の進捗、契約書類など、多くの情報を扱います。
しかし、情報がExcelや紙、メール、担当者個人のメモなどに分散していると、必要な情報を探すだけでも時間がかかります。
「以前、この顧客へどの物件を紹介したか分からない」
「最新の募集条件がどのファイルに記載されているか分からない」
「担当者が休むと案件の進捗を確認できない」
このような課題の解決に活用できるのが、サイボウズ株式会社の業務改善プラットフォーム「kintone」です。
kintoneを活用すれば、顧客・物件・案件などの情報を業務に合わせて管理し、社内で共有できます。
本記事では、不動産会社におけるkintoneの活用例やアプリの構築方法、導入時の注意点について解説します。
不動産会社で起こりやすい情報管理の課題

不動産会社では、営業担当者だけでなく、契約担当者や物件管理担当者、事務担当者など、複数の従業員が同じ情報を扱います。
その一方で、業務ごとに異なる管理方法を使用している会社も少なくありません。
例えば、次のような状態です。
顧客情報はExcelで管理している
物件情報は不動産会社向けの専用システムに登録している
営業活動は担当者が個別にメモしている
契約の進捗は紙のチェックリストで管理している
修繕や問い合わせの履歴はメールに残っている
会議資料を作成するために複数のデータを手作業で集計している
情報が分散していると、同じ内容を複数のシステムへ入力する二重入力が発生します。
また、担当者しか対応状況を把握できない「属人化」も起こりやすくなります。
特に、賃貸仲介や売買仲介では、顧客への連絡速度が成約に影響します。物件管理業務でも、問い合わせや修繕依頼への対応が遅れると、入居者やオーナーからの信頼を損なう可能性があります。
情報を一元管理し、必要な従業員がすぐに確認できる仕組みを整えることが重要です。
kintoneとは
kintoneは、自社の業務に合わせたアプリを作成できるクラウド型の業務改善プラットフォームです。
顧客管理や案件管理、問い合わせ管理、日報、申請業務など、さまざまな用途に活用できます。
一般的なパッケージ型システムでは、あらかじめ用意された項目や操作方法に業務を合わせなければならないことがあります。
一方、kintoneでは、文字入力欄、選択肢、日付、添付ファイル、担当者などのパーツを組み合わせて、自社の業務に合った入力画面を構築できます。
プログラミングを行わなくても基本的なアプリを作成できるため、小さな業務から運用を始め、現場の意見に合わせて改善していくことも可能です。
不動産会社にkintoneが向いている理由
顧客・物件・案件情報を関連付けられる
不動産業務では、顧客情報だけを管理しても十分ではありません。
「どの顧客が、どの物件を検討し、現在どの段階にいるのか」を確認できることが重要です。
kintoneでは、顧客管理アプリ、物件管理アプリ、案件管理アプリを分けて作成し、それぞれの情報を関連付けられます。
例えば、案件管理アプリで顧客名を選ぶと、顧客の電話番号や希望条件を自動取得する仕組みを構築できます。
同様に、紹介する物件を選択して、物件名や所在地、賃料などを取得することも可能です。
これにより、同じ情報を何度も入力する手間や、転記ミスを減らせます。
自社の業務に合わせて項目を設定できる
不動産会社によって、必要な管理項目は異なります。
賃貸仲介会社であれば、希望エリア、賃料、間取り、入居希望日などが必要です。
売買仲介会社では、購入予算、融資状況、売却理由、査定価格などを管理する必要があります。
物件管理会社では、所有者、管理契約、入居状況、修繕履歴、点検予定などが重要です。
kintoneでは、自社の事業や業務手順に合わせて項目を追加できます。不要な項目を増やさず、現場が実際に使用する情報に絞って設計できる点が特徴です。
外出先から情報を確認できる
不動産会社の営業担当者は、物件案内や査定、オーナー訪問などで外出する機会が多くあります。
kintoneはパソコンだけでなく、スマートフォンやタブレットからも利用できます。
外出先で顧客の連絡先や過去の対応履歴を確認したり、案内終了後に商談内容を登録したりできます。
帰社してから日報や顧客情報をまとめて入力する必要がなくなれば、入力忘れの防止にもつながります。
担当者ごとの案件を一覧で確認できる
案件情報を登録していても、必要な情報をすぐに取り出せなければ、業務には活用できません。
kintoneでは、条件に応じた一覧を作成できます。
例えば、次のような一覧です。
自分が担当している未対応案件
本日中に連絡が必要な顧客
今月の契約予定案件
申込後に審査中となっている案件
契約書類が未回収の案件
一定期間、連絡履歴が登録されていない顧客
担当者は自分が対応すべき案件を確認しやすくなり、管理者も全体の進捗を把握できます。
不動産会社におけるkintoneの活用例

活用例1:反響・顧客情報を管理する
ポータルサイトや自社ホームページ、電話、来店、紹介などから届いた反響を、顧客管理アプリへ登録します。
主な管理項目は次のとおりです。
顧客名
電話番号
メールアドレス
問い合わせ経路
希望エリア
希望賃料または購入予算
希望間取り
入居・購入希望時期
担当者
対応状況
最終連絡日
次回対応予定日
担当者だけが顧客情報を持つのではなく、会社の共有情報として蓄積できます。
過去の電話やメール、内見、提案内容も記録しておけば、担当者が不在の場合でも別の従業員が対応しやすくなります。
なお、個人情報を扱うため、業務上必要な従業員だけが閲覧・編集できるようにアクセス権を設定することが重要です。
活用例2:物件情報を管理する
物件管理アプリでは、取り扱っている物件の基本情報や募集条件を管理します。
例えば、次のような項目を登録します。
物件番号
物件名
所在地
物件種別
間取り
面積
賃料または販売価格
共益費
敷金・礼金
築年月
所有者
管理担当者
募集状況
写真・間取り図
更新日
社内で共通の物件情報を確認できるようにすれば、担当者ごとに異なるExcelを持つ必要がありません。
募集条件を変更した際も、物件管理アプリの情報を更新することで、社内に最新情報を共有できます。
ただし、kintoneへ登録した内容が不動産ポータルサイトや既存の基幹システムへ自動的に反映されるとは限りません。外部システムとの自動連携には、連携サービス、プラグイン、APIを利用した開発などが必要になる場合があります。
活用例3:仲介案件の進捗を管理する
顧客から問い合わせを受けてから契約に至るまでには、複数の工程があります。
賃貸仲介であれば、次のような流れです。
「問い合わせ→連絡→来店・オンライン相談→物件提案→内見→申込→審査→契約→鍵渡し」
案件管理アプリに現在のステータスを登録すれば、どの案件がどの段階にあるかを一覧で確認できます。
申込後は、本人確認書類、収入証明、保証会社の審査、重要事項説明、契約書への署名、初期費用の入金など、必要な手続きも増えます。
必要書類の回収状況や契約予定日を管理することで、手続き漏れを防ぎやすくなります。
活用例4:売買案件や査定案件を管理する
売買仲介会社では、購入希望者だけでなく、売却希望者からの査定依頼も管理できます。
売却案件であれば、次のような項目を登録します。
売主情報
対象物件
相談内容
査定依頼日
査定価格
媒介契約の種類
媒介契約期間
販売開始日
問い合わせ件数
内見件数
価格変更履歴
申込状況
契約予定日
引渡予定日
ステータスごとの件数や担当者別の案件数を集計すれば、営業会議の資料作成にも活用できます。
活用例5:物件の修繕・問い合わせを管理する
賃貸管理会社では、入居者やオーナーから多くの問い合わせが届きます。
電話やメールだけで対応していると、誰が対応しているのか分からなくなったり、業者への依頼を忘れたりする可能性があります。
問い合わせ管理アプリへ次の情報を登録します。
受付日時
入居者名
対象物件・部屋番号
問い合わせ内容
緊急度
担当者
対応状況
修繕業者
訪問予定日
見積金額
オーナー承認状況
完了日
対応内容
写真・見積書・請求書
「受付」「業者手配中」「見積確認中」「オーナー承認待ち」「対応完了」などのステータスを設定すれば、未完了の問い合わせを把握しやすくなります。
同じ物件で過去に発生した修繕履歴を確認できるため、設備交換の判断やオーナーへの報告にも役立ちます。
活用例6:契約書や関連書類を管理する
不動産取引では、契約書、重要事項説明書、本人確認書類、見積書、請求書、物件写真など、多くの書類を扱います。
kintoneにはファイルを添付できるため、顧客や案件に関連する書類を登録できます。
案件番号を使って契約書管理アプリと案件管理アプリを関連付ければ、案件画面から必要な書類を探しやすくなります。
ただし、法令上必要な保存方法や電子帳簿保存法への対応については、単にファイルを添付するだけで要件を満たすとは限りません。
保存対象となる書類や運用方法を確認し、必要に応じて電子契約サービスや文書管理システムとの連携を検討しましょう。
顧客・物件・案件アプリを連携する構築例
不動産会社でkintoneを活用する場合、すべての情報を1つのアプリへ詰め込む方法はおすすめできません。
項目が増えすぎると入力画面が長くなり、同じ顧客や物件の情報を案件ごとに繰り返し登録することになるためです。
基本的には、次の3つのアプリを分けて構築します。

顧客管理アプリ
顧客の氏名、連絡先、希望条件、問い合わせ経路などを管理します。
顧客ごとに固有の顧客IDを設定し、案件情報や対応履歴を関連付けます。
物件管理アプリ
物件の所在地、募集条件、所有者、担当者、写真などを管理します。
物件番号を設定し、案件や問い合わせ情報と関連付けます。
案件管理アプリ
顧客と物件の組み合わせ、担当者、進捗、契約予定日などを管理します。
顧客管理アプリと物件管理アプリから必要な情報を取得することで、二重入力を減らします。
例えば、案件管理アプリで顧客IDを選択すると、氏名や電話番号、希望条件を取得します。物件番号を選択すると、物件名や所在地、募集条件を取得します。
顧客管理アプリには、その顧客に関連する案件の一覧を表示します。物件管理アプリにも、現在進行中の案件や過去の問い合わせを表示できます。
この構成により、「顧客から案件を探す」「物件から検討者を確認する」といった双方向の情報確認がしやすくなります。
不動産会社がkintoneを導入するメリット
情報を探す時間を減らせる
顧客情報や案件情報が一元化されていれば、複数のExcelやメールを探す必要がありません。
顧客名、物件名、担当者、ステータスなどの条件から必要な情報を検索できます。
対応漏れを防ぎやすくなる
次回連絡日や契約予定日を登録し、期限が近い案件を一覧表示することで、対応漏れを確認できます。
条件に応じた通知を設定すれば、担当者や管理者へ対応を促すことも可能です。
担当者が不在でも対応しやすくなる
対応履歴が共有されていれば、担当者が休暇中でも別の従業員が状況を確認できます。
退職や異動の際も、顧客とのやり取りを会社の情報として引き継ぎやすくなります。
集計や会議資料の作成を効率化できる
登録された案件情報をもとに、担当者別の案件数、問い合わせ経路別の反響数、ステータス別の件数などを集計できます。
毎月Excelを加工して会議資料を作る手間を減らし、最新の状況を確認しながら会議を行えるようになります。
kintone導入時の注意点
最初からすべての業務を移行しない
顧客管理、物件管理、契約管理、修繕管理などを一度に構築すると、要件が複雑になり、運用開始まで時間がかかります。
まずは反響管理や案件管理など、課題が明確な業務に絞って導入する方法が現実的です。
小さく運用を始め、現場から出た意見をもとに改善していきましょう。
入力項目を増やしすぎない
将来的に必要になる可能性だけを理由に項目を増やすと、現場の入力負担が大きくなります。
入力されない項目が増えると、データの精度も下がります。
「この情報を何の判断に使うのか」を確認し、利用目的が明確な項目だけを設定することが大切です。
既存システムとの役割を整理する
不動産会社向けの基幹システムには、ポータルサイトへの掲載、間取り図の作成、契約書類の作成、家賃管理など、不動産業に特化した機能があります。
kintoneですべてを置き換える必要はありません。
既存システムは物件掲載や家賃管理に使用し、kintoneは反響後の営業進捗や対応履歴の管理に使用するなど、それぞれの役割を整理しましょう。
必要に応じて、CSVやAPI、連携サービスを利用して情報をつなぐ方法も検討します。
現場の意見を確認する
経営者やシステム担当者だけで設計すると、実際の業務手順と合わないアプリになることがあります。
現場がどの情報を確認し、どのタイミングで入力しているかをヒアリングしたうえで構築することが重要です。
導入後も利用状況を確認し、入力しにくい項目や不要な作業を見直しましょう。
不動産会社に合ったkintoneアプリを構築しよう
不動産会社では、顧客、物件、案件、契約、修繕などの情報が複雑に関係しています。
これらをExcelや紙、メールで個別に管理していると、情報を探す時間や二重入力が増え、対応漏れや属人化につながります。
kintoneを活用すれば、自社の業務に合わせたアプリを作成し、顧客・物件・案件情報を関連付けて管理できます。
ただし、単に現在のExcelをそのままkintoneへ移すだけでは、業務改善につながらない場合があります。
現在の業務手順を整理し、どの情報を誰が入力し、どのように活用するのかを決めることが重要です。
企業革命では、不動産業務の流れを踏まえたkintoneアプリの設計・構築に対応しています。
「顧客情報が担当者ごとに分散している」
「案件の進捗を会社全体で確認したい」
「自社の業務に合う管理方法が分からない」
このようなお悩みがある場合は、お気軽にご相談ください。
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